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難治性顎関節症

難治性顎関節症

今までお話してきたのは、比較的治りやすい顎関節症です。
ここでお話しするのは、治すのが難しい、治らないケースです。しかし、この難治性顎関節症の比率は全体の2%程度です。
この難治性顎関節症が起こるのは、治りやすい顎関節症を治療しないで放置したために起こります。
顎関節症治療は初期の治療がいかに大切かが分かります。
初診の段階で、容易に治るのか難治性なのかを、見極めることが重要です。
この見極めが甘いと治療の時間と費用の浪費になります。
難治性の顎関節症には、
1.関節円板前方転位
 1)復位性関節円板前方転位
 2)非復位性関節円板前方転位
2.関節円板穿孔
3.下顎頭変形
4.顎関節の炎症

があります。

正常な顎関節

正常な顎関節
下の図は正常な右の顎関節の側面図です。
口を閉じたときには、下顎頭(かがくとう)は側頭骨(そくとうこつ)、下顎窩(かがくか)の前上方に位置し関節円板の最も薄い凹部に入り安定した位置にあります。
口を開いたときには、関節円板は下顎頭に付き添って前方に移動しています。

正常な顎関節

復位性関節円板前方転位

復位性関節円板前方転位
下の図は復位性関節円板前方転位を起こしている顎関節の側面図です。
口を閉じたときには、関節円板は下顎頭の前方にあります。
口を開いていくと、下顎頭はカクンという音がして関節円板に乗ります。
口を閉じるときにも、下顎頭はカクンという音を発し関節円板から外れます。

復位性関節円板前方転位

復位性関節円板前方転位の治療
復位性関節円板前方転位の治療は夜間、特殊なスプリントを装着することによって痛みなどの症状を緩和することができます。
歯を覆う上下別々のプラスチックカバーを作製しておきます。
プラスチックカバーを上下の歯に被せ、患者さんに大きく口を開いてもらい、下顎を前に出して閉じてもらい、下顎頭が関節円板に乗っていることを確認し、この位置で上下のカバーを固定します。
このスプリントの装着は、対症療法で根治療法ではありません。
後退した下顎の位置を矯正治療によって修正し、痛みなどの局所症状や肩こりなどの身体症状や“うつ症状”などを解決することができます。しかし、関節円板が復位することは期待できません。

復位性関節円板前方転位の治療

復位性関節円板前方転位の治療前後のMRI

復位性関節円板前方転位の治療前後のMRI

非復位性関節円板前方転位

非復位性関節円板前方転位
下の図は非復位性関節円板前方転位を起こしている顎関節の側面図です。
口を閉じたときも口を開いた時も、関節円板は下顎頭の前方にあります。
関節円板が邪魔になり、2㎝くらしか口を開くことができません。

非復位性関節円板前方転位

非復位性関節円板前方転位の治療
急性の場合は、下の写真のように、患側の一番奥の歯にガーゼを噛んでもらい、術者が口を閉じるようにします。
10分近く圧を加えることによってカクンという音とともに下顎頭が関節円板に乗ります。
加圧すると、患者さんは痛みを感じます。
素早く、復位性関節円板前方転位と同じ方法でスプリントを装着します。長期にわたる安定した関節円板の復位は、望めません。その後の治療は復位性関節円板前方転位と同じ治療法です。

非復位性関節円板前方転位の治療

関節円板穿孔は残念ながら治すことはできません。
下顎頭変形は経過を観察するのが得策です。
炎症性顎関節症は口腔外科を受診するのがよいでしょう。