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顎関節症治療の現状

1本の歯から始まった悲劇

1本の歯から始まった悲劇

この写真は33才の男性歯科医師の口の中の写真です。右上の奥歯に13歳のときに治療したインレー(詰め物)があります。治療してあるのは、この歯一本だけです。自宅近くの「治療がうまい」という評判の歯科医院で治療を受けました。インレーは歯との段差もなく申し分のない治療に見えます。治療後“かみ合わせ”が高い気がしたので、そのむね歯科医師に訴えたのですが「2,3日で慣れますよ」ということでした。たしかに、2,3日で高い感じが消えました。
 しかし、その後の20年間は「いくら寝ても疲れがとれずヒマさえあれば寝てばかり」「首や肩の凝りがひどくマッサージに通っていたが揉み返しがきつく、かえって辛くなるのでマッサージにも通えなかった」「新宿の伊勢丹から高島屋までの、わずかな距離でも歩くのがつらく、ついついタクシーに乗ってしまう」「午前中は、まだしも午後になると疲れが出る」という状態が続きました。
 この患者さんには、後ほど紹介する3Dスプリントを、直接口の中で15分ほどかけて作り装着しました。患者さんはこの装置を入れた途端、 「こんなに肩や首がすっきりしたことはない」という感想をもらしていました。治療後、一緒に帰路につきました。歩き出した途端、「楽に歩けるようになった」と驚きの表情で話していたのが印象的でした。この装置を毎晩入れてもらうことにしました。
 一週間後に“3Dスプリント”で修正された下顎の位置で口を閉じてもらいますと、右の詰め物をした歯が最初に接触しました。修正された下顎位で“かみ合わせ”を調整しました。
 治療後は20年間悩んでいた顎関節症々状は消え、「熟睡できるようになったので睡眠時間も短くて済むようになり夜遊びの時間が増えて困っている」ということです。この患者さんの治療回数は3回、合計治療時間1時間半たらず、治療期間は10日間で終了しました。
 この患者さんは、歯科医師ですが10年近くつらい症状がありながら、放置しました。治療後「こんなつらい症状が、かみ合わせから来ているとは思ってもみなかった」というのが、この歯科医師の感想でした。
 この歯科医師だけが、顎関節症についての知識を持っていないということではありません。顎関節症の治療法も全身症状との因果関係も何もかもが知られていないというのが、歯科医学の現状です。